1日の始まりにふさわしいクラシックを集めました。グリーグやエルガーが描く清らかな朝の情景、ラヴェルやハイドンの透明感あふれる響き、モーツァルトやグリンカの軽快で晴れやかな音楽まで。柔らかな目覚めから元気よく踏み出す瞬間まで、朝の気分を彩る6曲です。
1. グリーグ《ペールギュント組曲》第1組曲より「朝」
フルートとオーボエがやわらかく奏でる冒頭は、夜明けの雰囲気そのもの。透明感のある曲調は、目覚めたての頭に心地よく響くはず。一日のリズムを整えるのに最適です。
この曲はノルウェーの劇作家イプセンの戯曲『ペール・ギュント』のためにグリーグが作曲した付随音楽の一部。北欧の自然を描くような旋律は、彼の民族的な音楽観を象徴しています。
2. エルガー《朝の歌(Chanson de matin)》
穏やかで陽だまりのような曲。少し背筋を伸ばしたくなる上品さが、朝の気分を軽やかに上向かせます。
エルガーは『威風堂々』やチェロ協奏曲で知られるイギリスの作曲家。家庭的な雰囲気があり、友人やアマチュア演奏家のために書いたとも言われています。
3. ラヴェル《クープランの墓》より「プレリュード」
端正かつきらきらとした曲。色彩豊かで凛とした曲調は、朝に自分を整えるのにぴったりです。
ラヴェルが第一次世界大戦で亡くなった友人たちに捧げた組曲で、タイトルは18世紀フランスの作曲家フランソワ・クープランに由来。
4. ハイドン《弦楽四重奏曲 ニ長調「ひばり」》第1楽章
第1ヴァイオリンが高音域へ軽やかに舞い上がる主題は、まさに小鳥のさえずり。快活な推進力と会話するような四声の絡み合いが、四重奏ならではの立体感を生み出します。朝の身支度をテンポよく進めたいときにおすすめ。
ハイドンは“弦楽四重奏の父”と呼ばれる存在。ロンドン滞在中に書かれた作品で、自由な空気と明るいキャラクターが魅力です。「ひばり」という愛称は、冒頭の旋律が鳥のさえずりを思わせることからつきました。
5. モーツァルト《クラリネット五重奏曲》第4楽章(変奏曲)
優しく親しみやすい主題が、次々と表情を変えて戻ってくる楽しい曲。クラリネットの柔らかい音は、心身が硬い朝にも最適。
1789年、モーツァルトが友人でクラリネット奏者だったアントン・シュタードラーのために作った曲。クラリネットという当時まだ新しい楽器の魅力を存分に引き出しています。
6. グリンカ《歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲》
弦の疾走と輝かしい管のファンファーレが一気に視界を開かせます。「さあ、行こう」という気分が湧く推進力が魅力です。1日の背中を押す起爆剤として最強の一曲。
グリンカはロシア音楽の父とされる作曲家。この序曲は彼のオペラ《ルスランとリュドミラ》の冒頭を飾る曲で、ロシア的な明るさと力強さが凝縮されています。
