午後のひととき、コーヒーを片手に過ごす時間に寄り添うクラシックを集めました。静けさの中で心を整えるラヴェル、深みを与えるブラームス、軽やかに歌うシューベルト、華やかで甘いチャイコフスキー、そして遊び心あふれるカプースチン。少し贅沢な休憩時間を、音楽の彩りとともに味わってください。
1. ラヴェル《弦楽四重奏曲》第1楽章
緻密で透明感のある和声は、午後の静けさを邪魔せず、頭をゆっくりと切り替えてくれます。フランス音楽ならではの少し幻想的な雰囲気も午後の暖かい空気とマッチします。
ラヴェルがまだ学生の頃に書いた代表的な室内楽作品で、若々しい感性と精緻な書法が融合しています。ドビュッシーにも高く評価された名曲。
2. ブラームス《ヴァイオリンソナタ第3番》第1楽章
情熱と深い歌心に満ちたブラームスのソナタ。コーヒーの苦みのように濃密で大人びた旋律が、心に落ち着きを与えます。豊かな厚みと温もりも持ち合わせた曲なので、午後のひとときをゆったり味わわせてくれるでしょう。
ブラームス晩年の円熟を示すソナタで、友人クララ・シューマンへの想いや仲間の死に対する込められているとも言われます。内面の深さとロマンが際立つ傑作です。
3. シューベルト《ピアノ三重奏第1番》第3楽章
軽やかで明るい旋律が、午後の空気にふっと軽さをもたらします。流れるようなピアノと歌うような弦のやりとりが、まるで柔らかな会話のように心を和ませます。
シューベルトが晩年に書いた室内楽で、友人たちとの集まりでも演奏されたと伝えられます。彼の特有の“歌心”が凝縮されており、明るさの中に陰影も漂います。
4. チャイコフスキー《くるみ割り人形》より「花のワルツ」
豊かに広がる旋律と華やかなオーケストレーションは、午後の小さなご褒美にぴったり。休憩時間を一層贅沢に演出します。
1892年に初演されたバレエ音楽《くるみ割り人形》の名場面。チャイコフスキー特有の甘美さとロマンティックな色彩が詰まった人気曲です。
5. カプースチン《8つの演奏会用エチュード》より「トッカティーナ」
ジャズのリズムとクラシックの技巧が融合した、軽快で遊び心に満ちた小品。午後の終わりにエネルギーを補充するように、気分を明るく引き上げてくれます。
ソ連生まれの作曲家・ピアニスト、ニコライ・カプースチンの代表的作品。クラシックの厳密な形式とジャズの即興的なスイング感を融合させた独自のスタイルで知られています。
